アミノ酸のスタミナアップ効果、4つの効能
医学界や料理の分野に次いでアミノ酸に注目したのが、スポーツの世界だったことからもわかるように、アミノ酸の持つパワーの中で、もっとも重視されているのがスタミナアップ効果です。
アミノ酸の中でもすぐれたスタミナアップ効果があるのは、ハリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、グルタミンの5つです。
これらのアミノ酸によって生まれる効果は以下の通りです。
・筋力アップ・瞬発力アップ・やる気アップ・疲労回復
それでは、スタミナアップアミノ酸が、どのようにこれら4つの効果を生み出し、スタミナをアップさせてくれるのか、各効果ごとにくわしく見ていきましょう。
筋力アップ効果
スタミナアップ効果のある5つのアミノ酸のうち、ハリン、ロイシン、イソロイシンの3種類は構造がほかのアミノ酸と異なり、
また、お互いに似ているので、3つ一緒になって働くことが多いため、とくに「分岐鎖アミノ酸(=BCAA)」と呼ばれています。
分岐鎖アミノ酸は、筋肉をつくっているたんぱく質の主成分であり、筋力アップには絶対に欠かすことができない大きな役割を担っています。
たまの休日にゴルフやテニスを楽しんだら、そのあと、筋肉痛になって大変だったという経験のある人も少なくないでしょう。
たまの運動後に起こる筋肉痛は、運動によって普段使い慣れていない筋肉組織が疲労し、炎症を起こしているのです。
私たちの体には、内臓を動かすための筋肉と、運動をするための筋肉の2種類の筋肉があります。
このうち、運動をするための筋肉は、筋肉細胞が結合してつくった細長い筋線経の束でできています。
この筋線経の束が弛緩と収縮をくり返すことで、腕や足は自在に動くことができます。
適度な運動なら、筋線経はスムーズに役目を果たしますが、激しい運動をすると筋線経は疲労して、あちこちがブツブツと切れてしまいます。
でも、筋肉にはそれを修復し、しかも運動前よりも太く、丈夫でしなやかな筋肉をつくり上げる力があります。
これこそが、筋トレなどによって鍛えれば鍛えるほど筋力がアップするという、筋肉のすぐれた特性ですが、その修復作業のときに新たな筋肉の材料となるのが分岐鎖アミノ酸を中心としたアミノ酸です。
一方、アルギニンは成長ホルモンの分泌を促す命令を出す脳下垂体に働きかけます。
つまり、アルギニンによって成長ホルモンが筋細胞の働きを活発にし、筋肉を強化したり、傷の治りを早めてくれたりするのです。
また、アルギニンはたんぱく同化ホルモンも刺激します。
したがって、ハリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニンの4つのアミノ酸を多く含んだ食べものやサプリメントを十分とっておけば、筋肉の修復がスムーズに行なわれ、しっかりとした筋肉がつくられるのです。
そうして、丈夫でしなやかな筋肉ができると、それだけ力を発揮でき、また筋肉的な疲労も少なくてすむというわけです。
瞬発力アップ効果
瞬発力とは、走り出したり、ジャンプしたり、急に方向転換したりするなど、瞬間的に働く筋肉の力のことをいいます。
いい換えれば、「スタートしよう」とか「右に曲がろう」という自分の意思を、いかに速く足や手の筋肉に伝えられるかということです。
ところで、瞬間的にしろ、そうでないにしろ、手足を動かしたり会話をしたりという私たちの動作は、すべて神経系の働きによって行なわれています。
神経系は大きく分けると、
(1)中枢神経(脳、脳幹、小脳、脊髄からなる)
(2)末梢神経(脳神経と脊髄神経からなる)
この2つがあり、中枢神経が「足を動かす」「話す」などの指令を出し、末梢神経はその指令を手足や口など末梢の筋肉に伝えたり、逆に末梢からの感覚情報を中枢に伝えたりする通り道になっています。
そして、指令や情報は、いずれも神経伝達物質と呼ばれる物質によって伝えられます。
この神経伝達物質は、わかっているだけでも100種類ほどあるといわれていますが、その中にはスタミナアップアミノ酸を主原料とするものも含まれています。
いわば、スタミナアップアミノ酸が神経伝達物質そのものになり、スタミナアップアミノ酸が十分にあれば、脳の命令はスムーズに筋肉まで伝えられることになります。
一方、末梢には、神経と筋肉の接合部があります。
筋肉が収縮するためには、この接合部で神経から筋肉に情報が伝えられ、その付近にある血管の中のカルシウムイオンが筋細胞へと移る必要があります。
つまり、筋肉は、血中のカルシウムイオンが筋細胞へと入ることで、はじめて動かすことができるのです。
スタミナアップアミノ酸は、筋の収縮に欠かせない血中のカルシウムイオンの移動速度を速める働きも持っています。
以上、まとめると、スタミナアップアミノ酸には、神経伝達を迅速にし、なおかつ筋肉の収縮スピードも速めるという2つの作用があります。
これが、スタミナアップアミノ酸による瞬発力アップ効果です。
やる気アップ効果
勉強にしろ仕事にしろ、同じ作業や動作を続けていると、気持ちの上で緊張が切れてしまうことがあります。
いわゆる「飽き」の状態です。
覚醒剤をご存じでしょう。
これは精神的な興奮を与えることにより、「やる気」を長時間持続させるというもので、その効果はものすごいものです。
ところが、アミノ酸にも脳を興奮させて、やる気を起こさせる働きがあります。
しかも健康によいのですから、いうことなしです。
「瞬発力アップ効果」のところでもお話ししましたが、私たちが手足を動かしたり、会話をしたり、何かを考えたり、感じたりするのは、すべて中枢神経の命令によって行なわれます。
そして、その命令は中枢神経の神経細胞から出される神経伝達物質によって、末梢神経を通じて、体のすみずみまで伝えられます。
もう少しくわしくお話しすると、神経伝達物質には興奮性と抑制性の2種類があり、この2つが括抗して、さまざまな情報が伝達されます。
単純にいえば、ハイになっているときは興奮性の物質が、落ち込んでいるときは抑制性の物質が、より多く出ているわけです。
人間の体はよくできていて、はじめは興奮性の物質がたくさん出ていても、
長時間にわたって体や脳が酷使され、エネルギーが不足してくると、神経は興奮性の物質より抑制性の物質を多く出すようになります。
すると、「これ以上、やる気がしないなあ」などと、飽きを感じるようになるのです。
これは、無理をしすぎて体を壊さないための、いわば安全弁といえるでしょう。
しかし、どうしても、あともうひと頑張りしたいというときがあります。
そんなとき役に立つのが、スタミナアップアミノ酸です。
具体的には、アルギニンとイソロイシンが、グルタミンという神経伝達物質の材料として使われます。
グルタミンからつくられるグルタミン酸はノルアドレナリンと同じく、興奮性の伝達物質です。
したがって、今日は残業があるというときなど、スタミナアップアミノ酸を摂取しておけば、精神的にハイの状態になってやる気が充満し、スタミナアップという感覚を得ることができるというわけです。
疲労回復効果
私たちがスタミナ切れを自覚するとき、その直接の原因となるのは疲労感です。
「疲れたな」と感じる原因には、大きく分けて次の3つがあります。
まず、ひとつは、運動など体を動かすことで発生する乳酸によって、体内の酸性とアルカリ性のバランスが崩れ、疲労を感じる「筋疲労」。
2つめは、エネルギー不足によって臓器の働きが悪くなり、全身の疲れを感じるようになる「臓器疲労」。
そして、3つめは代謝活動などによって発生するアンモニアによって、イライラや倦怠感など、脳に疲労を感じる「脳疲労」です。
この3つの原因が重なって、私たちは疲れを感じます。
それでは、この3つの疲労に対して、スタミナアップアミノ酸がどのように作用するのか、それぞれ見ていきましょう。
筋疲労
人間の体の中には、体を動かすためのエネルギーをつくるシステムが備わっています。
(TCA回路=具体的には、ひとつひとつの細胞の中にあるミトコンドリアによって酸素を使って行なわれます。つまり、細胞呼吸をすることによって、エネルギーとなるATP「アデノシン三リン酸」が合成されます)
普通、エネルギーをつくったあとには「燃えかす」が残ります。
しかし私たちの体の中のこのシステムは非常に効率よくできていて、その燃えかすであるオキサロ酢酸を再生させ、もう一度エネルギー源として使っているのです。
ちょうど、排ガスを再利用することで爆発的なパワーを生むターボエンジンのようなものです。
私たちの体は、この回路がスムーズにまわることで次々とエネルギーを生み出し、それによって動きつづけることができるのです。
TCA回路によってつくり出されるエネルギーの源となるのは、主に食事からとった炭水化物や脂肪などです。
体内では、炭水化物や脂肪は吸収しやすい形に分解されてから、TCA回路に入り、エネルギーとなります。
ところが、このとき一部の炭水化物や脂肪は、TCA回路に入らず、乳酸になってしまいます。
乳酸が発生すると、体内の酸性とアルカリ性のバランス(酸塩基平衡)が崩れて、体が酸性に傾いてしまいます。
体が酸性になると、細胞が生きていく上で必要な酵素の働きが悪くなるなど体内環境が悪化し、その結果、体全体で不調を感じるようになります。
これがいわゆる「筋疲労」です。
たんぱく質の本来の働きはエネルギー源となることではありません。
血中には約120グラムのアルブミンが含まれています。
ところが、炭水化物や脂肪が次々と燃やされていくと、筋肉に蓄えられていたたんぱく質もアミノ酸に分解され、TCA回路に入ってエネルギーをつくり出すようになります。
体には、一目に約100〜150グラムのアミノ酸がいつでも使えるようにプールされています。
炭水化物や脂肪と違って、アミノ酸がエネルギー源として使われるとき疲れのもとになる乳酸はほとんど発生しません。
とくにスタミナアップアミノ酸のうち、ハリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニンは、まったく乳酸を発生することなくエネルギーをつくり出すことができます。
ただし、体内に蓄えられたたんぱく質とはズハリ筋肉のことで、これは筋肉が破壊されることを意味してもいます。
つまり、たんぱく質がエネルギー源となった場合、乳酸の発生は最小限に抑えられるものの、筋肉が破壊されてしまうというわけです。
そこで、あらかじめスタミナアップアミノ酸を補給しておくとどうでしょう。
筋肉が破壊される代わりにスタミナアップアミノ酸がエネルギー源となって働き、しかも筋疲労の原因となる乳酸は発生しません。
つまり、スタミナアップアミノ酸は、摂取すれば、筋疲労の原因となる乳酸を発生させることなくエネルギー源となるため、
疲労を早く取り除くことができ、より長くスタミナを保つことができるようになるのです。
こうしたスタミナアップアミノ酸の効果は、長時間にわたってエネルギーを必要とする長距離ランナーにとってはきわめて有効です。
競技の前にスタミナアップアミノ酸を補給しておけば、炭水化物や脂肪をエネルギーとして使ったあとに、補給したアミノ酸がまずエネルギーに変えられ、それから筋肉内のアミノ酸を分解しはじめるので、
アミノ酸を補給していない選手より、はるかに持久力を高めることが可能になるのです。
臓器疲労
心臓をはじめとするあらゆる臓器は、手足の筋肉とは構造が異なるものの、やはり筋肉でできています。
したがって、急に走り出したりして心臓に強い負荷をかけたり、無理な使い方をすると、臓器を形成する筋肉は疲労します。
このような臓器の疲労も、「なんとなく元気が出ない」「持久力がない」など、全身疲労を感じる原因となります。
心臓に血液を送る血管(冠動脈)に動脈硬化などがあり、狭くなっていたりすると、さらに酸素は不足し、狭心症や心筋梗塞を起こします。
こうした臓器疲労を癒すには、疲れた臓器に酸素と栄養をどんどん与えるのがいちばんです。
では、実際に臓器に酸素と栄養を与えるにはどうすればいいのでしょうか。
そこでまた登場するのがTCA回路です。
これを円滑にまわしてエネルギーをたくさんつくることで、疲労した臓器に酸素と栄養がすばやく送り込まれるのです。
すでに「筋疲労」で見たように、スタミナアップアミノ酸のうち、ハリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニンの4つは、新たな疲労物質を発生させることなくTCA回路をスムーズにまわし、効率よくエネルギーを生み出します。
一方、もうひとつのスタミナアップアミノ酸であるグルタミンは、あらゆるアミノ酸の中でももっとも細胞膜を通過しやすいという性質があります。
したがって、疲れた臓器筋肉の中にすばやく入り込み、そこのTCA回路で自ら原料となって燃焼し、エネルギーを生み出します。
また、「筋力アップ」効果で見たように、ハリン、ロイシン、イソロイシンの分岐鎖アミノ酸には筋肉を修復する力があり、臓器筋肉が壊れるのを防ぐ働きがあります。
したがって、飲みすぎや食べすぎのとき、あるいは無理をして内臓が弱っているなと感じたときにスタミナアップアミノ酸を十分補給すれば、
臓器の疲労がすみやかに回復し、体力不足やスタミナ切れを感じることなく、安定したパワーを発揮できるようになります。
脳疲労
「なんとなく体がだるい」など、脳で感じる疲労のことを脳疲労といいます。
脳疲労の起こるメカニズムは次の通りです。
体内では、細胞呼吸や消化をはじめ、さまざまな代謝活動が行なわれています。
そうした代謝活動は、すべてそれぞれに適した酵素の助けを借りて行なわれています。
この酵素も、アミノ酸が材料となってつくられていますが、酵素は役目を終えて分解されると最後はアンモニアになります(アミノ酸が働くときには、必ず最終産物としてァンモニアが排出されます)。
つまり、体内であらゆる代謝が起こるたびに、アンモニアが発生するわけです。
このアンモニアは強い毒性のある物質で、人体にとって非常に有害です。
そのため、肝臓内のウレアサイクル(尿素回路)という解毒システムに送り込まれて尿素につくり替えられ、尿として体外に排泄されます。
ところが、体や頭をいつもより多く使うなどして、一度に大量のアンモニアが発生すると、ウレアサイクルで処理しきれなくなります。
処理しきれなかったアンモニアは、血中に取り込まれて全身をめぐり、やがて脳の中枢神経を刺激するようになります。
脳には、ほかの臓器にもありますが、グルタミンサイクルという代謝があります。
脳の中をアンモニアが刺激をすると、独自にグルタミンがアンモニアを取り込んでグルタミン酸になり、アンモニアの脳内濃度を減少させます。
それでも処理しきれず、脳内アンモニアが高くなると、中枢神経はアンモニアの発生を抑えるため、それ以上体を動かさないよう指令を出します。
その指令は末梢神経によって手や足などの末梢に伝えられ、
その結果、全身の動きが鈍くなり、だるさや倦怠感として感じられるようになるのです。
こうした脳疲労からの回復にも、スタミナアップアミノ酸は、おおいに役立ちます。
もともと、アミノ酸には肝臓の機能を高める働きがありますが、とりわけハリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、グルタミンのスタミナアップアミノ酸は、肝臓内のウレアサイクルの働きを高める能力にすぐれています。
さらに、グルタミンは、体内にあまっているアンモニアを次々と捕獲してウレアサイクルに送り込み、ウレアサイクルが円滑にまわるよう手助けするともいわれています。
そして、ハリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニンは、ウレアサイクルの働きそのものを活性化し、アンモニアを尿素に変えてすばやく体外に排出し、人体にとって有害な物質が体内に蓄積されるのを防ぎます。
したがって、仕事が忙しいときや、外出の予定が重なっているときなど、スタミナアップアミノ酸を多めに摂取しておけば、
長時間、頭をクリアな状態に保つことができ、それだけ長く活動を持続することができます。
以上見てきたように、スタミナアップアミノ酸はまさに現代人の体力アップのための特効薬。
また、身体面だけでなく、脳疲労を軽減するなど、勉強や仕事をする上でもおおいに効果を発揮してくれます。
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